金曜・・・

司馬さんは、明治が良くて昭和はダメだ、と言った・・・
だが私の焼き物史観によれば、明治以降の焼き物は全滅だ、と言いたい・・・
焼き物は、江戸幕末までに限る・・・
本当は、江戸中期までの焼き物こそ蒐集の対象にすべきだが、金がない・・・
したがって江戸幕末あたりまでを対象に、頑張って集めたいものだ・・・
でも金がない・・・
金がなくても、面白いものが買えるのであれば、明治を含めてもいいだろうし、大正昭和初までなら、金を出してもいい・・・
そういう個人的な掟を課していた・・・
だが、私も歳をとってしまった・・・
昭和の、箱に入った、作家物の焼き物も良い、と思うようになってしまった・・・
素人が見ても美しいと理解できる、キラキラした焼き物を、この私ですら目が眩んで惚れてしまったのである・・・
ええな、この色がええわ、形もええ、ちょっと触らしてもらえへんやろか、と物欲しげな眼差しで壺を物色する私・・・
昭和の焼き物であれば、人間国宝を買いたい・・・
だが金がない・・・
今年の冬を越せへんほど、金が、ない・・・
だから作家モノの焼き物とはいえ、私でも手の届く範囲に絞る・・・
人間国宝の壺は買えなくても、地元の美術館には収蔵されているレベルの作家で、全国的な知名度はないが地元のマニアには名前を知られている作家モノを狙いたい・・・
そこで5000円の壺と、5500円の徳利だ・・・
骨董屋で最初見た時、いまどき黒っぽい焼き物は誰も買わへんやろな、と思った・・・
値段を見た時、おいおい高すぎる、いくらなんでも5000円は高い、と諦めた・・・
だから他の物を買った・・・
で、他の物を何点か買ってしまうと、最後に、あの壺と徳利が目につく・・・
作家モノは、同じ作家であっても、ピンからキリまである・・・
ヤフオクだったら1000円で落札されとるやんけ、と見つけても、見比べてみると、違いははっきりしている・・・
あっ、似たような壺がヤフオクじゃ3800円で売れとるわ、と見つけても、よーーーーく見ると、やはり違う・・・
同じ作家でも7800円で壺が売れとるわい、とクリックすれば、一目で良い壺だと分かる・・・
だから5000円という値段は、本当にヤラしいところを突いた値段なのだ・・・
3000円だったら安くてすぐ売れてしまっているだろうけど、5000円だったら本当に欲しい人でなければ買わない、そういう絶妙な値段・・・
で、何度か手にとるうちに、黒い壺が、キラキラ輝いていることに気づいた・・・
黒っぽい壺が、ちょっと照れくさそうに、キラッと光るんや・・・