骨董その6
何の変哲もない茶碗・・・
見所もないし、面白みの欠ける茶碗・・・
今出来の焼き物で、単なる練習用の茶碗・・・
だが、そこに「客佛」と書かれた時、茶碗が輝き始める・・・
こういう、何気ない茶碗こそ、見落としてはならない・・・
やれノンコウだ、やれオリベだの、誰が見ても凄い茶碗は、誰が見ても分かる・・・
しかし、こんな100円で買った中古の茶碗の中に、ハッ!とさせられる感性こそ、我々は磨かねばならない・・・
たいして面白くない安物茶碗に「客佛」という文字を目撃した時、どれだけ茶人魂に火をつけられたことか!・・・
「客佛」は、お客様は神様ですとか、スマイル0円とか、そういう見え透いた心では断じてない・・・
お客をもてなす為なら、身の破滅を招くくらい趣向をこらして道具を集め、茶会を開くのである・・・
ヒデヨシが茶碗をもとめて朝鮮半島を侵略したように・・・
茶碗のために死んでいった戦国武士たちに思いを馳せて、私は今日も茶碗を手の上で転がすのだった・・・