木曜・・・

60時間、号泣している。

2日前の朝、父が救急車で病院へ運ばれた。

入院して、特別な部屋に入ったまま、現在に至る。

一般病棟へは、まだ移動できていない。

私は、父の後を追って、病院へ行く前から、号泣を始めた。

医者から話を聞かされる時に、人前で号泣したらヤバイから、ひとりでいる時に、泣いておこうと思った。

泣く、と分かっているから、あらかじめ先に泣いておこう、と思ったのだ。

病院に行く前に、散々泣いたから、もう大丈夫だろうと思って、医者の話を聞きに行った。

そしたら、あまりに深刻な話だったので、号泣が止まらなくなった。

2日経った今日も、私は飽きずに号泣し続けている。

父の代わりに、やり残した仕事を、私が片付けて、納品しに行った。

スチール書庫の扉を引けば、仕事で使う文房具が山ほど詰まっていて、泣けてくる。

父は、まだ仕事をするつもりだったんだな、と思うと涙が止まらなくなり、文房具すら見てられない。

スチール書庫の扉を閉じて、今度は、小物収納の引き出しを開けてみれば、社名の入った紙が山ほど出てきて、再度、泣きに泣く。

納品する前に、ハンコを押さなければいけないのだが、父の職印を、私は見たことがなかった。

いままで私は、安物のハンコしか見てこなかったが、父は、こんな立派な職印を持っていたのか、と驚いた。

偉い人だったんだな、と父のことを初めて知り、そのついでに、職印を押した書類の束をめくってみると、まぁ、仕事が細かい。

こんなことまでやらんでええやろ、というぐらい、写真を撮ったり、ラミネート加工にして書類をツルツルにしたりして、この書類の一枚一枚が、また泣けるんだわ。

請求書の金額が強気でビックリしたけど、これだけ手間と時間をかけただけでなく、書類を納品するために、早く病院へ行けず、命まで縮めただろうから、請求書一枚でも泣けてくる。

泣いて、食欲が湧いてこず、痩せた。