安倍政権がもくろむ 「軍人勅論」「戦陣訓」の大衆洗脳

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この教育勅語が塚本幼稚園の騒動で批判にさらされたというのに、政府は現代に復権させようとしている。となれば心配なのが今後の動きだ。戦前の日本には「人勅」や「」があった。
前者は1882年に成立。軍を統帥する天皇が、日本に生まれた者は軍人に限らずに報いるを持てと教えている。後者は1941年に東条英機が示達した。「生きて囚のを受けず」の一文が日本兵や民間人の自殺を誘発したことは有名だ。

ありうる。
大いに、ありうる。
教育勅語が突破されてしまったら、次は軍人勅諭がやってくる、と警戒せねばなるまい。
まさか、と油断していたら、いつの間にか教育勅語みたいな暗黒文書が教材化されてしまうアベ日本。
アベなら、やりかねない。
なんてったって復興大臣イマムラが、自主避難者を「自己責任」と切り捨てるアベ政権だ。
原発推進政策を心から反省していたら、よほどの人でなしでなければ、とてもじゃないが「自己責任」などと開き直れるはずはないだろうが、しかし、人間としての危険区域を軽やかに越えてゆくアベ政権。
かつてアベのお祖父さんが自分の作品だと豪語した満洲国では、敗戦後、真っ先に軍人とその家族は逃げて、民間人を置き去りしてきた歴史が、アベ一派の大好きな帝国日本にある。
しかもアベが理解できていない慰安婦問題には、慰安婦とされた女性を戦地に連れまわしたあげく、敗戦後、現地に置き去りしてきた悲劇があるにもかかわらず、まったく悪びれもしないのが、アベ周辺にいるお仲間である。
弱者を切り捨て、人間を置き去りにしてきた「自己責任」論は、かつてのコイズミ政権の新自由主義的な政策に端を発しているように思われているが、実はそうではない。
むしろ「生きて虜囚の辱を受けず」などと首相が説教を垂れた日本の悪しき伝統が、今、イマムラ会見で噴き出た「自己責任」論に接続されることによって、戦陣訓が形を変えて復活してきている、と私は思う。
まだ軍人勅諭や戦陣訓が公的な場で復権はしていないけれども、アベ政権下によってソフトな形で「自己責任」論として現代的な姿で復活したあげく、平気で国民を虐げる戦前の国家主義的メンタリティを現在まで引き継ぐことで、いつか本当に、軍人勅諭等を公的に教材化・朗読化させたいのだろう。
だから大臣イマムラの「自己責任」論は、単なる感情的な暴言でも、記者の勇気ある質問に逆上したものでもなく、確信犯的な発言である。
教育勅語の先にある、軍人勅諭等を公的に正当化するための、その下地を捏ね繰り回している最中なのだ。
だから平和を逆走するアベ政権の暴走を、食い止めねばなるまい。