日曜・・・

マスクが、ない。

最後のマスクは、涙と鼻水でジュクジュクに汚してしまった。

父が入院した後、病院で医者から話を聞く時に、私はマスクをした。

そこで医者が、父の病状を語る時に、あまりに恐ろしい話をしたから、私のマスクは涙と鼻水で汚れきった。

マスクがない為、病院へ行けず、父に会いに行けない。

父は、一般病棟へ移動できず、まだ特別な部屋にいる為、会わせてもらえるかどうか、分からない。

しかし私は、病院へ突撃するつもりでいた。

医者が止めようが、警備員が邪魔しようが、私はなにがなんでも父に会いたいのだ。

でもマスクが、ない。

マスクの代わりに、タオルで顔半分を隠してみた。

マスクがなければ、タオルがあるじゃない、とばかりに自分の顔を覆ってみる。

タオルで口元を隠し、サングラスをして、頭にヘルメットを被ったら、新左翼になってしまう。

私がタオルで扮装すれば、過激派になってしまった。

これじゃ病院へ行けない。

マスクさえあれば・・・