古着で泣く

老後のための資金から10万円だけ抜いて、神戸のセレクトショップを回るつもりが、うっかり間違えてリサイクルショップのセカンドストリートへ行った・・・

行くまでは、気分が重かった・・・

古着が苦手だから・・・

一応、古い物は好きで、骨董、古道具、掛け軸、古切手、古紙幣、古本を集めてきたし、今は8万円の中古車に乗っている・・・

古い物は大好物のはずだが、古着だけはダメだと思っていた・・・

戦前の着物や襤褸は着ても平気なのだが、むしろ直近の、生活臭のしそうな、前の持ち主の体温が残っていそうな、時代の浅い古着だけは、触るのも嫌だった・・・

セカンドストリートに行く前に、ネット上のオンラインストアを見たら、吐き気がした・・・

ところがセカンドストリートに到着すると、まずは焼き物と輸入食器と置物を物色して値段を確かめた後、早々と古着コーナーへ向かった・・・

気持ちの悪さで胃から嘔吐物が込み上げつつ、古着のコーナーに入った途端、私は、我を忘れて服を漁っていたし、血眼になって何着も試着していたのだった・・・

しかし閉店時間まで1時間しかなく、すべてを物色できず、消化不良・・・

なんというか、古着を見ていると、懐かしい感じがして、泣けてきた・・・

3年前に断捨離して昔の服は捨てたのだが、私が捨てたようなタイプの服が置いてあって、懐かしくて泣けてくる・・・

しかも一着一着に夢とロマンが詰まっていて、古着はひとつのドラマである・・・

いやーー、古着って本当にいいものですね、と目に熱いものが込み上げてきたのだった・・・

着丈が短かったけど・・・

記念に買いたい衝動に駆られたが、よーーーく考えたら、私、おっさんには難しい気がしてきた・・・

若い人が古着を着るのは良いが、私、おっさんが古着を着ると、昔の服を捨てられない人みたいになるので、なかなか難しい・・・

おっさんになると、着る服に困ってしまう・・・

誰も見ていないのに・・・