林葉直子『遺言 最後の食卓』中央公論新社
――対局のときは、最後まで勝負は捨てない、って本では書いてましたよね?
林葉 うん。今のところまだ生きてるけど、不安な気持ちもあるかなあ。だけど、この本ができるまで生かされていたのかなとも思ってるし。
――この本を遺言と考えていいんですか?
林葉 そうそう。
――こんなに明るい遺書ってないなと。
林葉 そう、みんな明るく死にましょうよって。(笑)
林葉 昔を嘆いてもしょうがないし。
――終わった棋譜は忘れると。
林葉 そう。済んだこと。で、人生の終わりも笑いましょうってこと。くだらないことで悩んだりしないように、絶対。
――そうですね。本当に残された時間は精一杯……。
林葉 笑わないと。
林葉 私の人生っていうよりは、すべての人生に関して運がいい、悪いって本当にあると思うんだよね。みんな、うまくやってるつもりだろうけど。だから、最期だけはどんなに失敗しても笑っていたいの。